紅茶の国的トルコな生活。

紅茶の国の800年くらい歴史ある大学で1年間訪問研究者として生活してます。日本での勤務先はとんこつラーメンの国にあり、トルコなことやってる教育研究職なヒトのブログ。

  • もう数日前ですが、かなり話題になっていたお話で、イタリアで、若い男女が抱き合ったように埋葬されているのが発見されました。その姿から"永遠の抱擁"なんて見出しがついてましたね。

Italy mystery of prehistoric hug
Archaeologists in Italy have unearthed two skeletons thought to be 5,000 to 6,000 years old, locked in an embrace.
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/6338751.stm

  • 過去にロマンをはせるような報道に対して、平均寿命やなんやらからその当時として「若い」といえるのかとか、そもそもこの二人が恋人だったかもわからない、なんて意見をブログに書いてる人も。そういう見方、そういわれたらそうなんだけどさーってとこもあるんですが、それよりも印象にのこったのは、この件に関係して考古学やってる知り合いが別なところで教えてくれたこと。
  • 今後の考古学調査のことを考えると、この二人はこのまま「永遠の抱擁」の状態ではいられないそうです。発見された資料をコツコツ調べていって過去の社会の姿を少しでも具体的に知ろうとするのが考古学のアプローチとみるならば、今回の二人の遺骨はそのための資料ってことになります。。発見された状態の記録も取りながらバラバラに引き離されて、いろんなことを調べられ、「恋人」だったかどうかまでわかるのかはともかくとしても、具体的な年齢とか死因といった本人たちのことだけでなく、当時の社会の有様を知るために使われるはずだそうです*1
  • 実際のところ、今回の遺骨はこれだけニュースになったので、どこかの博物館に見つかったままの状態に復元して展示されることになるかもしれないけれど、そうなってしまえば、見つかる前と同じ状態ではないって気がします。見つかってしまった時点で、それは「永遠の抱擁」ではなくなってしまったんじゃないかなあなんて思ってしまったり。

*1:とはいえ、いくら学問の目的のためとはいえ、お墓に埋葬されて安らかに眠ってた人を掘り起こしていろいろ調べてってことに、考古学の人もまったく抵抗を感じないわけでもないんだそうです。。