紅茶の国的トルコな生活。

紅茶の国の800年くらい歴史ある大学で1年間訪問研究者として生活してます。日本での勤務先はとんこつラーメンの国にあり、トルコなことやってる教育研究職なヒトのブログ。

My Name is Red

My Name is Red

  • 読み終わったのは2週間くらい前なんだけど、いや〜難しかったけど、本当におもしろかった。創造性とか芸術様式の獲得とか、自分の興味があることにもかかわる内容だったし。
  • 16世紀終わりのオスマン帝国の都、イスタンブル。ときのスルタンの密勅を受けた本の製作にかかわっていた細密画家、通称"Elegant”が殺されるところから始まる。
  • 物語の鍵になるのは、芸術やその創造性やスタイルに対する「西洋」と「東洋(イスラーム)」のアプローチや価値観の違い。このあたりの美学芸術論がアレゴリーで表現されるところは複雑で、かなり難しいなと感じたりもしたけれど。
  • なお、作者のパムクさん自身は、政治的にかなり西欧志向が強い人でもあるそうなので、そういう作家が西と東の違いをどう書こうとしているか、っていう点も、個人的には興味深いなと。ネタばれ気味だけど、パムクさんは、この辺のことについて極端に走る人とそうでない人を分けている気がした。
  • 視点の違いといえば、物語は、登場する人物だけでなく細密画に描かれた対象や動物などによって、語られる形式で進んでいて、同じ出来事に関するそれぞれの違った視点が投影されているところなんかも興味深くておもしろかった。